松田紗織
(29年4月4日 産経新聞談話室 掲載)
昭和52年11月に横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから今年で40年になる。別の拉致被害者、松木薫さんの弟、信宏さんが「もし拉致が風化すれば、それは日本が終わるときだ」と話しているそうだが、全くその通りだと思う。
日本政府は一部の拉致事件を把握していながら、その事実を長く公表してこなかった。複雑な背景や外交的配慮、理由があったのだろうが、いかなる事情があったにせよ、「国民の生命を守る」という国の責務を放棄していたことには変わりない。
あまりにも長い歳月が流れたが、拉致問題は一向に解決への道筋が見えない。
拉致被害者家族会は、「今年中に解決を」と期限を示した。高齢化した家族には「これ以上待てない」という焦りがあるのだろう。そして、事件が風化してしまえば、国民を見捨てても平気な国ができてしまう。家族らは、そう訴えているようにも思える。
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