伊藤祐靖
平成24年8月15日、香港活動家らが尖閣諸島の魚釣島に上陸した。私は、不謹慎ながら心の奥でほくそ笑んでいた。それは、上陸した者、上陸を許した者への感情とは別のものであって、自分の出番が近づきつつあるという予感と今まで培ってきた能力が少しは役に立ちそうだという確信が私の感情を高揚させていたからだった。私は政府が、不法入国、無断上陸を許し、その奴等を無罪放免にしやがったら、あることをやっちまおうと思っていた。
彼らが上陸をしようとしているという情報は、何ヶ月も前...から報道されていた。だから、尖閣問題に何の関心もない者は別として、8月15日に行くと宣言し、来るだろうと報道されている彼らを政府がどう扱うのかに注目が集まっていた。特に、その3日後に尖閣諸島海域で行われる集団漁業活動は、洋上慰霊祭も行うことになっており、国会議員、地方議員も参加するものであったからだ。当然、私もそれに参加することにしていた。
周囲では「もし香港から来た外国人が上陸をして、その後に行く、あなた達が上陸しないんじゃ海外に対して格好が付かない」と言う人が多くいた。それはその通りで、あれほど前から不法入国を宣言をしていた者にそれを許し、更に上陸され、挙げ句の果てに無罪放免で世に放つのに、自国民は上陸もできないとなれば、本当に日本人が尖閣諸島が自国領という意識があるのだろうか? と疑問視されても仕方がないと思えるからだ。
しかし、私は、上陸して浜辺で国旗を振ることに興味はなく。(この行為を決して批判しているのではない)私は私でやりたいことがあった。それは、2年前の衝突事件の頃から考えていたことであって、魚釣島の頂に特大の国旗を掲げることだった。
「あとは、無罪放免だ。それをしやっがったら、やっちまおう」
つづく(まだまだ)
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