昨年12月19日の金正日死亡に関する発表はその後死亡の場所が公式発表と異なることが明らかになっており、死亡した日時も信頼できるものではないが、一方で三男金正恩への後継の動きが続けられている。12月30日には最高司令官に就任した。
激しい権力闘争を勝ち抜いて後継者の地位を手にし、さらに20年以上の「助走期間」の後に父金日成の死を迎えた金正日と異なり、2010(平成22)年に初めてメディアに姿を現した金正恩が北朝鮮において自らリーダーシップを振るえるとは考えられない。今後の展開については十分な注意が払われるべきである。
北朝鮮では金日成の死後金正日のもとで200ないし300万人と言われる人々が飢餓によって命を奪われ、「深化組事件」では2万5千もの人々が粛清された。今も約20万の人々が政治犯収容所で動物以下の人権侵害を受けており、危険を冒して北朝鮮を脱出する人々は後を絶たない。そして、そのような状態の中でも核・ミサイルの開発は続けられている。
我々にとって最大の関心事である日本人拉致問題は10年前の第一次小泉訪朝で被害者5人が帰国して以来誰一人として救出が実現していない。政府の認定拉致被害者は17名だが、実際には遥かに多くの日本人が拉致されており、その救出が実現しないことは北朝鮮以上に日本の問題と言える。しかし、近い将来に我が国政府が拉致被害者救出を自ら決断することは期待できない。一方で家族も、そして被害者も高齢化が進んでいる。
我々は軍にかかわる者として、拉致被害者の救出実現を自らの責務と考え本会を結成し、活動を続けてきた。金正日の死亡という転換点、場合によっては最後のチャンスにあたり傍観者であることは許されないと考える。拉致に関わった者の責任は消えるものではなく、当然報復の対象となるが、自らが犯した罪を悔い改め我々に協力すれば相応の評価をするものである。その認識のもとに我々は今後以下の方針で拉致被害者救出のため行動する。
1、北朝鮮国内外の朝鮮人民、特に軍関係者に対し国家再生のために蹶起するよう呼びかける。そして、その目的のために勇気を持って立ち上がる朝鮮人民及び軍人がいれば、拉致問題の解決を条件に、我々は支援と協力を惜しまない。 2、朝鮮人民軍を中心とし、日本国内の協力者も含め拉致問題の解決に資するための情報活動を進める。 3、万が一にも拉致被害者にこれ以上の危害が及べば、我々は、北朝鮮当局のみならず日本国内も含めこれに加担したものに対し、あらゆる手段を行使して攻撃に転ずる。
平成24年1月9日 予備役ブルーリボンの会代表 予備1等陸曹 荒木和博
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