「八紘為宇」という建国の理念

最終更新: 2018年7月28日


葛城奈海


27年4月11日 産経新聞「直球&曲球」掲載

 先月16日の参院予算委員会で自民党の三原じゅん子議員は「八紘一宇」について「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」と述べた。日頃、「八紘一宇」のルーツである「八紘為宇」こそ日本が取り戻すべき理念だと考えていた私からすれば、まさに我が意を得たりの発言であった。

 かくいう私もこれを「好戦的なナショナリストのスローガン」だと思い込んでいたひとりだ。それが、初代神武天皇の「橿原建都の詔」を学び、「天の下にひとつの家のような世界を創ろう」という原義を知るに及んで、己が先入観と不勉強を恥じた。

拉致問題ひとつとっても、被害者を「自分の家族」として痛みを分かち合えるのなら何十年も見捨てたままになどできないであろう。この広大な理想の対象は日本国のみに留まらない。

 先の大戦で渋谷健一特攻隊長は、幼い娘たちに「世界に平和がおとづれて万民太平の幸をうけるまで懸命の勉強することが大切なり」と書き遺している。われわれ日本人は他者を蹴落としてでも自分さえ勝てばいい、他国を踏み躙っても自国さえ繁栄すればいいといった考え方を良しとしない。日本人のDNAにはこの壮大な理念が埋め込まれているのではないか。 

 だからこそ、欧米列強の強圧的な植民地支配とは対照的な、アジア太平洋諸国での統治が、先般の天皇、皇后両陛下のパラオご訪問でも示されたような現地の人々の熱烈な親日感情を育んだのであろう。

戦後70年の今こそ、日本人が自ら受け継ぐこの宝のような価値観を自覚し、そこに立ち返ることが、弱肉強食の世界を「強者が弱者を助け共に生きる世」へと導く鍵になるように思えてならない。

 「戦後レジームからの脱却」「日本を取り戻す」とは、極論すれば「八紘為宇」という建国の理念を取り戻すことではあるまいか。

 三原発言へのGHQ史観そのものの批判にはまず勉強をと言いたいが、保守層にこれを擁護する動きが希薄だったのも残念だ。議員の経歴を理由に同発言を軽視する輩には、そうした「色眼鏡」こそ戦後体制を延命させてきたことを肝に銘じてほしい。

184回の閲覧

最新記事

すべて表示

拉致問題 国を動かすのも最終的には国民

葛城奈海 28年9月15日 産経新聞「直球&曲球」掲載 北朝鮮が5回目の核実験をした今月9日の前日、都心のホテルで、政府と東京都の共催による「北朝鮮拉致問題の解決を願う都民の集い」が開催された。注目の小池百合子都知事も主催者あいさつに立つということで多数のメディアが詰め掛けた。会の後半に行われた北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」公開収録には、私も進行役として出演した。 関係者あいさつで特に鮮烈だったの

安保法制論議、拉致被害者救出には一言もない

葛城奈海 27年6月25日 産経新聞「直球&曲球」掲載 「少なくとも数名は帰ってくるのでは」と、日本中の期待を集めた日朝ストックホルム合意から丸1年がたった。結論は周知の通り、政府認定の拉致被害者、特定失踪者の誰ひとりとして帰国は実現していない。再調査のための特別調査委員会を設置したことを評価して、日本は制裁の一部を解除したが、またしても北朝鮮に弄された感は否めない。「最後のチャンス」と、すがるよ

自衛隊による拉致被害者救出を議論せよ

葛城奈海 28年3月31日 産経新聞「直球&曲球」掲載 桜の季節を迎えた。しかし、何十年もの間、祖国の桜をめでることのかなわない同胞たちがいる。現憲法下で、拉致被害者救出に自衛隊を使うなどありえないと考える国民は多い。しかし、そうやって思考を停止する前に、考えてみてほしい。 クーデターなどで北朝鮮が騒乱状態に陥った場合、各国政府は自国民救出に動く。その時、日本はみすみすチャンスを逃すのだろうか。邦

予備役ブルーリボンの会
住所 : 〒112-0004 東京都文京区後楽2-3-8 第6松屋ビル301号 荒木事務所気付 携帯電話 090-8517-9601
Copyright (C) 2008-2017 予備役ブルーリボンの会. All Rights Reserved.

  • Black Facebook Icon
  • Black Twitter Icon
  • Black LinkedIn Icon